0.019 (第2話)

「…またあの夢…?だった……」

 

僕はベッドから脚を下ろしながら、独り言をこぼした。

あの、焦燥に駆られて、自分自身に恐怖を強いるような、そんな感覚。

目が覚めるとすぐ内容を忘れてしまって、誰かに相談するのは難しい。

妙にリアルなその感覚だけが、脳にこびりついてしまっている。僕はその感覚に、嫌悪感しか抱くことができない。

 

「疲れてんのかなぁ…きっとそうだよな。テスト勉強、地味に大変だし」

 

うん。きっとそうに違いない。自分にそう言い聞かせた。自分の自分の精神(こころ)を、恐怖から逃がしてやらないと、これだけは。このことだけは………。

 

…なんだっけ?このことって。このことってなんだよ。僕は何に怯えて、何に気づきたくなくて……。

 

だめだ。考えるのをやめよう。何か、気だけじゃない何かが狂ってしまいそうな気がする。

 

背後から何かに首を取られてしまいそうな気がして、逃げるように、逃すように、保健室をあとにした。

 

(続く)