檳榔子色のビー玉のように

檳榔子(びんろうじ)色のビー玉のように、揺れた彼女の瞳を、虚ろに追いかけるの。

 

さっきね、可愛い茶系のワンピースを着ていてものすごく細くて色が白くて背が高くて髪がサラサラのストレートでツインテールをしている女の子が歩いて来てね、ふと顔を見たら、思わず声が出るほど綺麗だったの、まるでお人形さんみたいに均整の取れた美しいお顔だったの、どこか苦しみに濁ったビー玉のように、魅惑的な瞳をしていた、

 

私は疲れからか脳の一部がパンクしたような感覚を持ち歩いていて、何も考えられずただ漠然と死んでしまいたいと思いながら歩いていたのだけど、あんまりにも、その彼女が美しすぎて、完璧で、衝撃的で、彼女が通り過ぎたあと誰もいないその道に立ち尽くしてしまったのよ、

 

 

 

しばらく呆然としていたけれどハッと我に返ったときに、彼女を見る前に持っていた気持ちが、より生々しく感じられてしまった、「死んでしまいたい」が具体性を帯びてしまった、それは私の手をぐにゃりと掴んでぬるぬると脳みそに回っていった、私は一生あんな美しいお人形さんのようには、なれないのだ、と、私は一生抜け出せないのだと、理想とかけ離れた自分を、毎日幾度となく再認識させられてしまうのよ、毎日毎日毎日、終わりがないのよ、

 

少し疲れてしまったから、意識を外に追いやろうと思うわ。